柴田久美子

地震と要石が結び付けられたのは、江戸時代の安政の大地震以降という。要石と武甕槌大神が地中で暴れる大ナマズの頭を押さえる「鯰絵」が出回り、鹿島地方には大地震がないと伝えられていった。 東日本大震災で石造りの鳥居が崩れる二日前。春の祭事が開かれ、午後二時四十六分には約五千人がその鳥居の周囲に集まった。地震と要石の関係性は定かでなくとも「神様がタイミングをずらしてくれたのではと思わずにいられない」。震災後は地震よけを祈願する人が増えたという。